パニック障害
パニック障害

パニック障害は、突然起こる強烈な恐怖や不快感(パニック発作)を繰り返し、「また発作が起きるのではないか」という強い不安(予期不安)や、発作が起きそうな状況を避ける行動(回避行動)が1か月以上続く疾患です。
パニック発作は、心臓発作や窒息のように感じられるほど強烈な身体症状を伴うため、「死ぬかもしれない」という恐怖を体験する方も少なくありません。救急車で病院に運ばれたにもかかわらず、検査では異常が見つからないというケースも多くあります。
パニック障害は「気持ちの問題」ではなく、脳の不安処理機能に関わる疾患です。2025年には日本不安症学会・日本神経精神薬理学会による「パニック症の診療ガイドライン第1版」が公開されており、当院でも最新の知見に基づいた診療を行っています。
パニック障害の原因は完全には解明されていませんが、以下のような要因が複合的に関わっていると考えられています。
脳内の神経伝達物質(セロトニン・ノルアドレナリン・GABAなど)のバランスの乱れや、扁桃体(危険を感知する脳の部位)が過敏に反応しやすい状態になっていることが関係しているとされています。遺伝的な素因も一定の関与が指摘されています。
身体感覚への敏感さや、「動悸=心臓発作」のように身体症状を破局的に解釈する思考パターンが、発作を引き起こしたり悪化させたりすることがあります。
強いストレス・過労・睡眠不足・カフェインの過剰摂取などが発症のきっかけになることがあります。また、過去に強い恐怖体験をした状況に似た場面で発作が起きやすくなる場合もあります。
パニック障害の中心となる症状は「パニック発作」です。発作は突然始まり、数分から数十分でピークに達します。
発作そのものよりも、予期不安や回避行動によって生活が大きく制限されてしまうことが、パニック障害の大きな問題の一つです。
パニック障害の診断は、医師による問診を中心に行います。発作の状況・頻度・発作後の不安や回避行動の有無を詳しくお聞きします。
診断には国際的な診断基準(DSM-5)を用います。以下の点を確認します。
身体疾患との鑑別が重要なため、必要に応じて心電図・血液検査などを行うことがあります。また、うつ病・社交不安症・広場恐怖症・PTSDなどとの合併や鑑別にも注意が必要です。
パニック障害は、薬物療法と認知行動療法を組み合わせることで、症状のコントロールと回復が期待できる疾患です。
治療ガイドラインでは、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)がパニック障害治療の第一選択薬として推奨されています。効果が現れるまでに数週間かかることがあります。また、発作時の強い不安に対して、補助的に抗不安薬を使用することもありますが、長期使用には注意が必要なため、医師と相談しながら慎重に用います。症状が落ち着いても、再発予防のため一定期間の服薬継続が重要です。
認知行動療法(CBT)は、パニック障害に対して有効であると多くの研究で報告されています。発作を引き起こす「身体感覚への過剰反応」や「破局的な解釈」を見直し、段階的に回避していた状況に慣れていく練習(エクスポージャー)を行います。薬物療法と組み合わせることで、より高い効果が期待できます。今後は臨床心理士・公認心理師によるカウンセリングも予定しております。(自由診療)。
回避行動を続けると、行動範囲がどんどん狭くなり、生活の質が大きく低下してしまいます。焦らず少しずつ、日常生活を取り戻すための工夫が大切です。
怖い場所・状況を完全に避け続けることは、一時的には楽になりますが、長期的には恐怖を強化します。医師やカウンセラーとともに、安全な環境で少しずつ慣れる練習を進めることが回復の鍵です。
腹式呼吸など、過呼吸を防ぎ身体の緊張を和らげる呼吸法を日常的に練習しておくことが、発作時の対処に役立つとされています。
十分な睡眠・適度な運動・カフェインの制限が症状の安定に役立ちます。アルコールは不安を一時的に和らげるように感じますが、症状の悪化や依存のリスクがあるため注意が必要です。
パニック発作は非常に苦しいですが、医学的に命に関わるものではありません。この事実を正しく理解することが、予期不安の軽減につながります。
以下のような状態がある方は、一度ご来院ください。
パニック障害は、適切な治療によって症状のコントロールと日常生活の回復が期待できる疾患です。「また発作が怖い」「どこにも行けなくなってしまった」という方も、一人で抱え込まずにご相談ください。お一人おひとりの状態に合わせた治療をご提案します。
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