発達障害・ADHD
発達障害・ADHD

発達障害とは、脳の神経発達の違いによって生じる特性の総称です。生まれつきの脳の働き方の違いが背景にあり、特定の場面での困りごとや、周囲との関わり方に特徴が現れます。
近年、大人になってから「発達障害ではないか」と気づくケースが増えています。子どものころは個性として受け止められていた特性が、就職・進学・結婚などのライフイベントをきっかけに、仕事や人間関係の困難として表面化することがあるためです。「なぜ自分だけうまくいかないのだろう」と長年悩んできた方が、診断を受けて「やっと理由がわかった」と感じるケースも少なくありません。
発達障害は「治す」ものではなく、特性を理解し、自分に合った環境・方法を見つけることで、日常生活や仕事での困りごとを大幅に軽減できる可能性があります。
当院では主に以下の発達障害に対応しています。
不注意(集中が続かない、忘れ物が多い、順序立てて行動できない)、多動性(じっとしていられない、落ち着かない)、衝動性(考える前に行動してしまう、感情のコントロールが難しい)を主な特性とします。大人のADHDでは多動性が目立たなくなる一方、不注意や感情調節の困難が前景に立つことが多くなります。
対人コミュニケーション・社会的なやりとりの困難(相手の気持ちや暗黙のルールが読み取りにくい)と、こだわりの強さ・感覚の過敏さ/鈍麻を主な特性とします。知的障害を伴わないASDは「アスペルガー症候群」と呼ばれることもありましたが、現在はASDという統一した名称が用いられています。
読む・書く・計算するなど、特定の学習能力に困難が生じる疾患です。知的能力全般には問題がないにもかかわらず、特定の分野だけ著しく難しいことが特徴です。
ADHDとASDは単独で現れる場合もあれば、両方の特性を持ち合わせることもあります。また、これらの疾患は「グレーゾーン」が大きく、診断名がつかなくても困りごとを抱えている場合もあります。
発達障害の原因は一つではなく、遺伝的要因と環境的要因が複合的に関わっていると考えられています。
ADHDやASDには遺伝的な要因が関与していることが明らかになっています。血縁者に同様の特性を持つ方がいることが多く見られます。ただし、親が発達障害だからといって必ず子も同じになるわけではありません。
脳内の神経伝達物質(ドーパミン・ノルアドレナリンなど)の調節機能の違いや、前頭前野をはじめとする脳の特定部位の発達・機能の違いが関係しているとされています。
発達障害そのものは生まれつきの特性ですが、周囲の環境(理解・サポートの有無など)によって、困りごとの程度は大きく変わります。適切な支援があることで、特性が生活に与える影響を最小限にすることができます。
発達障害の症状・特性は人によって大きく異なります。以下は代表的な困りごとの例です。
これらの特性が日常生活・社会生活に支障をきたしている場合、専門機関への相談が勧められます。
発達障害の診断は、医師による詳細な問診と心理検査を組み合わせて行います。
現在の困りごとだけでなく、子どものころの様子(学校での様子・成績・対人関係など)を詳しく確認します。発達障害の特性は幼少期から一貫しているため、生育歴の聴取が診断の重要な手がかりとなります。可能であれば、幼少期を知る家族からの情報提供も参考にします。
WAIS(ウェクスラー成人知能検査)などの知能検査や、ADHDやASDの特性を評価する質問票・行動評価尺度を使用します。検査によって、特性のプロフィールや認知的な強み・弱みが明確になり、支援や治療方針の立案に役立ちます。
うつ病・不安障害・双極性障害・PTSDなどの他の精神疾患と症状が重なることがあります。また、発達障害の特性が背景となって二次的にうつや不安が生じている「二次障害」も多く見られます。丁寧な鑑別が適切な治療につながります。
発達障害の治療は「特性をなくす」ことではなく、「困りごとを減らし、強みを活かす」ことを目標に進めます。
特性に合わせた環境の工夫(仕事の手順の視覚化・リマインダーの活用・業務量の調整など)や、ソーシャルスキルトレーニング(SST)・認知行動療法(CBT)などの心理的支援が有効です。「自分の特性を知り、うまく付き合う方法を学ぶ」ことが治療の中心です。当院では臨床心理士・公認心理師によるカウンセリングも提供しています(自由診療)。
ADHDに対しては、注意・集中力の改善を目的とした薬(コンサータ・ストラテラ・インチュニブ・ビバンセなど)が保険診療で使用できます。薬の効果・副作用・適応については医師と丁寧に相談しながら進めます。ASDに対する中核症状への薬物療法は現時点では確立されていませんが、不安・抑うつ・易怒性など随伴症状には薬が有効な場合があります。
発達障害の特性は、適切な環境と工夫があることで、大きな「強み」にもなり得ます。
診断を受けることで「なぜうまくいかないのか」の理由が分かり、自己否定から解放されることがあります。特性を理解した上で、自分に合った仕事のやり方・生活習慣を見つけることが大切です。
障害者手帳を取得することで、職場での合理的配慮(業務内容の調整・指示方法の工夫など)を受けやすくなります。就労支援機関(ハローワーク・障害者就業・生活支援センターなど)との連携もご相談いただけます。
発達障害の特性から生じるストレス・失敗体験の蓄積によって、うつ病・不安障害・依存症などの二次障害が起きることがあります。二次障害が生じた場合は、その治療も並行して行うことが重要です。
以下のような状態が続いている方は、一度ご来院ください。
発達障害の特性は、正しく理解し、適切なサポートを受けることで、日常生活や仕事での困りごとを軽減できる可能性があります。「もしかして発達障害かもしれない」と感じている方も、どうぞ安心してご相談ください。お一人おひとりの特性と生活状況に合わせた支援をご提案します。
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